「キャンディ塗装のバランスボードの作り方」

木材とソフトボールを使って,キャンディ塗装を施したバランスボートを作ってみました.バランスボードはDYJOC(動的関節制御)トレーニングで使用する理学療法士ならお馴染みのアイテムですが,市販品は少々高価なのがネックです.

そこで今回はソフトボールで代用した安価なバランスボードの作り方と,ついでに趣味全開のキャンディ塗装の方法を解説します.

キャンディ塗装というのはベースにメタリック系の派手な塗装を行った後に,クリアー系の塗装を上に重ねることで奥行きのある独特の風合いを表現する塗装法です.実際のところバランスボードの作り方は非常に簡単ですぐに終わってしまうので,今回のこのページは自分がキャンディ塗装をしてみたかっただけのような気がしますが細かいことはどうでもいいのです.興味のない方は塗装の部分はとばしてください.



STEP.1 材料準備
まず用意するものですが,ソフトボール3号級と,足を載せる円形の板が必要です.ソフトボールは大きさが1〜3号まであります.3号球が一番大きいです.直径が大きいとカーブが緩くなるため,不安定性は低くなります.より難易度の高いバランスボードを作りたい場合は小さいものを選んでください.作ったことはありませんが野球ボールでもいけるかもしれません.ただし芯がコルクでできているものの方が円盤との接着力が高まるためお勧めです.

円形の板はホームセンター等で販売していますが,店によって価格に結構差があります.下に載せてあるものはかなり安い方だと思います(近所のビ○ホームで買いました.カイ○ズホームでは798円でした).足がはみ出さずに乗るものなら何でもいいです.円形でなくても作れます.
■ソフトボール 3号球 ×1:567円
■円形の板 クリアパイン材 ×1:560円

他に必要なもの
■ノコギリ
■木工用ボンド
■マスキングテープ
■各種塗料(後で説明)


STEP.2 ボールを切る
ノコギリでボールを切ります.球形で,かつ表面がゴムに覆われているので切りにくいです.誤って手を切らないよう注意して下さい.中身はコルクなのである程度切ればサクサク進みます.
中身はこんな感じ.
次は板に接着する位置を決めます.円の中心をより正確に求めたいのであれば,数学(算数?)の授業で習った「2本の弦(円内を通る直線)の垂直二等分線の交点が円の中心である」ことを利用して求めればいいのですが,そこまで面倒くさいことをしなくてもソフトボールに板を載せて,板が平らになったまま釣り合う位置を適当に探していればそのうち中心はみつかります.
みつけられたらペンで位置をなぞっておきましょう.
この後はキャンディ塗装の説明に突入しますので,興味のない方はStep4に進んでください.


STEP.3 キャンディ塗装
まず塗料を一通り説明します.ベースに黒のアクリルスプレー,模様にアイボリーとバーントアンバーのアクリル塗料,キャンディ塗装用にニススプレー,表面コーティングにクリアーのアクリルスプレー(必須ではありません)を使用します.

■アクリルスプレー(黒):198円
■アクリル塗料(アイボリー):198円
■アクリル塗料(バーントアンバー):198円
■ニススプレー(ゴールデンオーク):980円
■アクリルスプレー(クリアー):198円

はじめに黒のアクリルスプレーを全体に吹き付けます.裏面にはソフトボールを接着しますので,接着予定部分にマスキングテープを貼っておいてください.塗装がすべて終わった段階でマスキングテープをはがして接着します.塗装の上からの接着では木工用ボンドとの相性が悪く,接着力が落ちてしまうためです.
次に模様をつけます.今回は疑似大理石模様をつけます.紙をクシャクシャに丸めたものにアイボリーのアクリル塗料をつけ,スタンプしていきます.使う紙は何でも良いのですが,塗料の染みこみが無く,エッジが際立つ広告の紙がおすすめです.
 1回スタンプするとこんな感じになりますので,これをペタペタと全体に施していきます.それが終わったらバーントアンバーのアクリル塗料で上から同様に重ねて模様を作ります.
模様が一通りつけ終わりました.本来のキャンディ塗装はメタリック系の塗料を使うのですが,今回は模様自体が派手なのでメタリックではない塗料を使用しました.このあとクリアー系塗料を重ねていくと模様は奥に引っ込んだ感じになるので,「ちょっと派手過ぎたかな?」と思っても最終的にはよく馴染んで落ち着いた仕上がりになります.
ニススプレーを1回吹き付けた状態です.ニスを選んだことに特別な意味はありません.透明度の高い塗料であれば何でもいいです.プラモデル屋さんに行くと色々な色のクリアー系塗料が売っていると思います.
ニススプレーを5回重ねた状態です.重ねるほどに光が当たった時の深みが増していきますが,そのかわりに模様がクリアー系塗料に埋没して目立たなくなっていきますので,1回ごとに確認しながら好みの回数で止めてください(この飴のような透明感がキャンディ塗装の名前の由来です).

最後に表面保護のためのアクリルスプレー(クリアー)を全体に吹き付けて塗装は終わりです.模様の塗装のせいで表面が若干ボコボコしていますが,気になる方は目の細かい紙ヤスリで仕上げてください.ただしかなり根気がいりますので,理学療法的には足底面の感覚受容器を適度に刺激できるからこのままでいいだろ!と適当に納得しましょう.


STEP.4 ソフトボールの接着
ソフトボールを接着します.板のマスキングテープを剥がしておいてください.ソフトボールの接着面に適量のボンドを塗布し,板に接着します.
ボンドが乾かないうちに実際に床に置いてみて,釣り合いがとれる位置に微調整します.板とコルクなので木工用ボンドとの相性が良く,接着力はかなり高いはずですが,より耐久性を高めたい方は板の上からクギ等で補強してください.その場合はボールの表面からクギが突き出ないよう,クギの長さと位置に注意してください.
完成です!


STEP.5 おまけ:過去に制作したバランスボード類
円形の板ではなく長方形の板で制作したバランスボードです(円形より長方形の方が板の価格は安いです).

裏面はソフトボールを直接固定するのではなく,ソフトボールにボルトを,板にナットを埋め込み,ソフトボールの脱着ができるようにしてあります.この仕様により真ん中に装着すると通常のバランスボード,前後または左右に2個のソフトボールを装着すると前後・左右方向限定のバランスボードといった使い方ができます.

ボルトとナットはパテで固定してあります.
こちらはソフトボールではなく車輪をつけてあります(上のバランスボードと板の仕様が同じですが別物です).

動きが滑らかになるよう高価な車輪を購入したのですが,車輪の軸と車輪接地面との距離が長く,足を乗せて切り返す時に車輪がぐりんっと回ってブレが生じてしまうのが反省点です.考えてみればリハ室のリノリウム(?)の床で使っているのであれば安価でも大抵の車輪は滑らかに動いてくれますしね.

車輪の直径は小さくして,車輪の軸と車輪接地面との距離がなるべく短くなるものものを選んだ方がいいですね.