「薔薇のポップアップカード」

職場の同僚が結婚するので、お祝いのためのポップアップカードを作ることにしました. 


STEP.1 型紙作成

薔薇の花は1層につき6枚,全部で8層の花びらで作成します.1層目(いちばん外側)は平らで,中心の層に行くほど角度が上がる構造にしたいので,角度計算をしつつ型紙を作っていきます.

1層の花びらを展開すると扇形になり,この角度をαとし,立ち上げ角度をΘとします.扇形の直径をR,円錐形の組み立てた時の円の直径をrとすると,2π(パイ)R×α/360=2πrが成り立ちます.これを整理すると,

@α=360×r/R

円錐を真横から見たときの,Rとrを辺とする直角三角形のRとrの成す角はΘと錯角関係にあるのでΘとなります.よって,

AcosΘ=r/R

@とAを連立方程式として解くと,

Bα=360×cosΘ

となります.この式に作成に都合の良い値を入力して型紙を作成しました.こんなめんどくさい解説をわざわざ載せたのは,cosだとか円錐の公式だとか連立方程式だとかを,久しぶりにこねくり回したのを自慢したかったからです.すみません.下にあるのが作成した型紙です.A4サイズで作りました.(※クリックで拡大します)
@ A B C D

STEP.2 材料準備

■ケント紙:A4×5枚(型紙を印刷)
■画用紙:八つ切り×1枚(台紙用)
■厚紙:八つ切り×1枚(台紙用)


その他の道具
カッター
両面テープまたはノリ


※台紙の硬さについて

今回は花びらをケント紙で作っています.加工しやすく適度な強度があるからです.そして台紙には画用紙を使っていますが,注意しなければならないのは台紙の硬さです.
花びらを8層でデザインしましたが,これは私が調べてみた限りではポップアップカードとしてはかなり多い枚数のようで,8枚のケント紙を開くためには台紙に相当の負荷がかかります.
左の上の写真は台紙が画用紙1枚だけですが,ケント紙の強度に画用紙が負けてしまい,きれいに開いていません.そこで画用紙にさらに厚紙を貼り付けることで強度が増し,左の下の写真のようにきれいに開くようになります.



STEP.3 裁断と接着
 

ケント紙に型紙を印刷し,裁断します.
材料準備にはカッターと書きましたが,クラフトナイフの方が曲線を切りやすいです.私はオルファ社製のデザインナイフ リミテッドAK Ltd-09というナイフを使っています.普通のカッターと同じように切れ味が落ちると刃を交換でき,ペン感覚で細かい作業ができるので使い勝手がいいです.

裁断したらのりしろを接着し,折り目をつけます.定規のエッジなどを使うとシャープできれいな折り目をつけられます.
8層分の花びらが完成しました.これを台紙に取り付けます.
台紙に花びらを差し込むためのスリットをあけます.台紙を半分に折り,中心から60°の角度をなす2本の線を引き,その2本の線とスリットが正三角形になるように開けていきます.
スリットの長さは内側から約10mm,13mm,17mm,20mm,24mm,27mm,30mm,34mmの8本で,それぞれのスリットの間隔はおよそ3mmずつ離れています.
花びらをスリットに差し込み,のりしろを折り返して接着していきます.やってみて分かったのですが,花びらは内側のものから先に接着していった方がいいです.私はなんとなく外側から接着していきましたが,内側の花びらの接着は外側の花びらが邪魔になって大変でした.
裏から見るとこんな感じです.私は外側から接着して内側に向かっていったので,のりしろは外側に折り返していますが,内側から接着する場合はのりしろが隣のスリットを塞がないよう,内側に折り返します.
台紙を飾りつけて完成.冒頭で述べたように,台紙も厚紙で補強しておきます.厚紙は中心で切り離して2枚にした方がきれいに開閉します.



追記

 

私のホームページを見ていただいた稲田さんという方が,この型紙を元にしてポップアップカードを作ってくださいました.

なんというか…素晴らしすぎます.

ここまでくるともはやオリジナル作品ですね.鮮やかで完成度高いです.

これは奥様の誕生日にプレゼントされたものだそうです.稲田さんは毎年奥様にポップアップカードを送ってお祝いされているのだとか.

奥様と末永くお幸せに!ありがとうございました.