「ポリエステルロープを使った輪投げの作り方」

ポリエステルロープを使った手軽な輪投げの作り方を紹介します.輪投げ動作は坐位バランス向上や上肢・体幹の運動連鎖強化,下肢への荷重促進など設定によってさまざまな効果を期待でき,かつ患者さんも内容を理解しやすい,理学療法場面では使い勝手の良い練習です. 


輪投げを作る

STEP.1 材料準備

■ポリエステルロープ 直径12mm ×760cm:1200円

他に必要なもの
万能バサミ
ロウソク
軍手など,捨ててもいい手袋

 ロープはポリエステル等,熱で溶ける材質にしてください(熱で溶かして溶接するためです).輪投げの直径は12cmで作ります.ロープの太さや硬さによって変わりますが,今回使用する太さ1.2cmのロープでは,輪の直径を12cm以上にすると輪自体の重さで形がゆがんでしまうためです.
 ところでロープ以外,例えばゴムホースでも手軽に輪投げを作ることができます.本題ではないので今回は詳しく説明しませんが,ホースの内径と同じ太さの木の棒で接合します.ロープの輪投げと違うところは,ある程度の重さがあること,ホースがつぶれるため小さい輪投げは作れないこと,などでしょうか.家にあるホースで試してみたところ,直径17cm以下ではホースがつぶれて上手く輪になりませんでした.中空であることを活かして中に砂でも詰めれば,筋力トレーニングの要素を含んだ輪投げとしても使えそうですね.他にも身近にある素材で作れるでしょうから,思いついたら試してみてください(そして上手くいったら教えてください)


STEP.2 ロープを切る

輪投げ1つ分の長さにロープを切断します.直径12cmの完成予定ですので,12×3.14=37.68,熱で溶かす部分を少し加えて38cmに切ります.用意した材料で輪投げ20個分ができます.

切断は万能バサミでゴリゴリしながら切るのが労力が少なく,かつ綺麗に切れると思います.カッターは1本の切断にかなり時間がかかりますし,ニッパーは切るときにロープが潰れて線維がほつれやすいのでお勧めしません.この後の熱処理の段階では,ロープの切断面がきれいなほど作業がしやすくなります.


STEP.3 輪っかを作る(溶接)
 

切り分けたロープを輪っかにして溶接します.ロウソクの炎などでロープの両端を炙って溶かします(※注意:ロープに火がつくと危険であることはもちろん,焦げて接合面が汚くなってしまいます.炎に近づけすぎないよう気をつけましょう.装具修正用のヒートガンがあれば安全に綺麗に仕上がります).

両端が溶けてきたら,そのまま間をおかずに両端同士を押しつけ,接合面をモミモミして平らにします.接合面に直に触れると熱いですから,必ず手袋をはめてください.写真では作業用のレザーグローブを使っていますが,軍手の2枚重ねでも大丈夫です.溶けたロープがくっついて汚れるので,捨てても良いものを使いましょう.
モミモミしているところ
左の写真が接合した状態です.このままでもほどけることはほとんどありませんが,接合面をより強固に,きれいにしたい場合は,さらに接合面をあぶって溶かし,ならしていきます.
完成.あと19個同じようにつくります.1個に要する時間はだいたい2〜3分です.
これで輪投げの作り方は終わりですが,ついでに輪投げ台を作ります.台を自分で作るのは,練習の目的に合った好きな高さに調節できて良いのですが,面倒な方は帽子掛け(コート掛け?)で代用できます.価格も安めのものなら3千円以下で買えますので,試してみてはどうでしょうか.


←楽○市場で売ってたやつ.2680円(送料込).


輪投げ台を作る

STEP.1 材料準備

矢崎化工が販売しているイレクターという商品を使って作ります.これは金属製のパイプと樹脂製のジョイントを組み合わせて家具等を作る,DIY用の部品です.用途に合わせて様々なジョイントがあります.以下の材料をそろえました.

型番 数量 用途 価格
P-IVO アイボリー 150cm×1本 支柱 498×1=498円
45cm×2本 148×2=296円
30cm×2本 88×2=176円
P-BL ブラック 45cm×2本 148×2=296円
30cm×1本 88×1=88円
J-15A ブラック 1 脚と支柱の結合 175円
J-50B アイボリー 4 支柱の先端 48×4=192円
J-118A  アイボリー 5

枝と支柱の結合(最上部)
78×9=702円
ブラック 4
J-118B アイボリー 3 枝と支柱の結合(最上部以外) 78×3=234円
JC-40S ブラック 4 脚の先端 248×4=992円
EY-50   1 接着液
50ml
324円
   合計 3974円
材料はホームセンターのカイ○ズホームで購入しました.左の写真ではJ-118Aの在庫が1つしかありませんでしたので,後で買い足してあります.それと今回つくる輪投げ台は移動の便利さを考えてキャスターをつけていますが,必要ない方はキャスターを材料から除けば,予算を1000円ほど削れます.そのかわりに適当な先端部品(1個30円くらい)をつけて下さい.

STEP.2 パイプを切る

ちょうど良い長さにパイプを切ります.専用のパイプカッターも売っていましたが,クッソ高い(3450円!)ので諦めて,杖用のパイプカッターを使いました.パイプカッターがなくても金属用ノコギリなどで切ることもできます.以下のように切断しました.
P-IVO アイボリー   45cm×2本 → 22.5cm×4本 
 30cm×2本 → 15cm×4本
P-BL ブラック   45cm×2本 → 22.5cm×4本 
 30cm×1本 → 7.5cm×4本


STEP.3 組み立てる@
 

切ったパイプをジョイントと組み合わせていきます.組み立ては専用の接着液を使います.透明のサラサラした溶剤で,パイプとジョイントの隙間にスポイトで注入します.パイプとジョイントの樹脂を溶かして固めるタイプのようです.隙間に少し流し込んだだけで毛細管現象によって接着剤がどんどん吸い込まれていきますが,慎重にやらないといきなりあふれ出ますので注意しましょう(パイプやジョイントの表面に接着剤が付着すると,拭きとってもあとが残ってしまいます).

作ろうとしている輪投げ台は,4本の枝,土台,支柱の部分で構成されています.まずは枝,土台を写真のような部品で組み立て,接着します.ただしそれぞれの赤矢印の部分はまだ接着しないでください.


STEP.4 塗装
製作途中で思いつき,どの高さに輪を入れるのかを患者さんに分かりやすく指示するため,それぞれの高さの掛け部を色分けすることにしました.以前の工作で余っていた黒スプレーと,100円ショップで購入した3色のカラースプレーを使います.
パイプにスプレーする時に手が汚れないよう,ワリバシ等でテキトーに固定し,塗装します.パイプの両端はジョイントと連結するため,あまり厚く塗装すると入らなくなってしまいます.薄めの塗りを2回重ねて終わりにしました.どうせダ○ソー品質だろと侮っていたスプレーは,意外にもキメ細かい粒子で綺麗に仕上がりました.


STEP.5 組み立てるA
度台の根元のジョイントと支柱を接着し,4本の脚を仮組みします.平らな場所で4つの車輪が全て接地し,支柱が垂直であることを確認しながら接着します.それぞれの脚は根元のジョイント部分で動かして少しだけ斜めにすることで高さを微調整できます. 
枝の根元のジョイント部品を支柱に接着します.枝の先からの高さを差し引いて,好みの高さに接着してください.
それぞれの枝を,垂直であることを確認しながら接着します.
完成!