「神無月と金木犀」

 金木犀の花言葉:
  ■真実
  ■謙虚
  ■陶酔
  ■初恋
   (※イラストの参考にしたもののみ記載)

 金木犀ほど,その記憶が香りと強く結びついている花は無いのではないかと思います.
 金木犀は江戸時代に中国より渡来しました.同じモクセイ科に銀木犀という白い花が
 ありますが,金木犀の方が花の付きが良く香りも強いです.

 花が咲いている時期は2週間ほどですが,秋になるとどこからともなく香ってくる強い
 芳香から,視覚よりも先に嗅覚で金木犀の存在を知ることができます.

 日本では金木犀の香りというとトイレの芳香剤のイメージが強く残念な感じですが,本場の
 中国ではこの金木犀の香りを存分に楽しんでいるようで,桂花陳酒という金木犀を漬け込んだ
 お酒の他,お茶,お菓子,調味料などにもその芳香を利用しています.

 強い芳香は金木犀の生存戦略の一つです.他の多くの花は花粉を運んでもらう虫を引き寄せる
 ために,より綺麗に鮮やかになって自身を目立たせます.しかし金木犀は見た目よりも香りを
 進化させて自分の存在を知らせます.しかもその香りはモンシロチョウをはじめとした多くの
 虫に対して忌避作用があり,アブなど特定の虫だけが好んで訪れます.一途ですね.
 他の多くの花が自分自身を綺麗に見せて,より多くの虫を惹きつけようと努力している中で,
 金木犀は香りという別の武器を使って意中の虫だけを射止める.「初恋」の作戦勝ちと言った
 ところでしょうか.

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