学習タイプ別ノートのとり方


 ノートをとる目的は,@「ある事柄についての理解を促す」,A「知識を頭に入れる」の2つに集約されると思います.

 何年か前に,「東大生のノートはかならず美しい」という書籍が出版されました.
 良好な成績を挙げている学生(つまり東大生)のノートを分析して法則を見出し,効果的なノートのとり方を解説したものです.
 その後,類似本も何冊か出版されましたが,共通して述べられていることはおおむね以下のようなものです.

  文頭を揃える(大見出しをいちばん左に,小見出しは1〜3文字下げて書き,これを統一する)
  
余白を大きくとる(追加情報やメモを書き足すため)
  
筆圧や文字のテンションは統一する
  
1つの事柄は1ページもしくは見開きでまとめる
  
自分に合ったノートのフォーマットを決める
  
書く必要のないものはコピーして貼る
  
インデックスを活用する(目次を作り,それぞれのページには見出しをつける)

 私はこの本で述べられていることが,実はあまり好きではありません.私がこの方法でノートをまとめたとしても,
 きっと思ったような成果は上げられないでしょう.
 ただしこの方法が間違っていると言うつもりは全くありません.ただ私の学習スタイルには合ってないだろうと感じるだけです.
 確かに1つの事柄を1ページもしくは見開きでまとめたり,インデックスを活用することは有効だと思います.
 しかし筆圧や文字のテンションを統一したり,文頭を揃えたりすることは,どうも堅苦しくて好きになれないのです.
 実際この方法でノートを作ってみると,確かに見た目は綺麗(美しい?)のですが,あまり頭に入ってこないのです.

 「話をきかない男,地図が読めない女」という本が以前話題になったことがあります.男と女では右脳と左脳がはたらく割合に差があり,
 その差によって行動に得手不得手が生じる,というものです.右脳と左脳の機能的な違いを簡単に説明すると以下のようなものになります.

  右脳:空間処理能力に優れる
  左脳:言語処理能力に優れる

 男女の脳機能の違いが学術的にどの程度の根拠を持って明らかにされてきているのかは詳しくないのでわかりませんが,このような違いが
 存在するのであれば,同じ性別の中でも右脳寄り,左脳寄りという違いが存在する方が自然です(男性的な考え方の女性,女性的な考え方の
 男性が存在するように).

 思うに「東大生のノートはかならず美しい」で説明されているノートのとり方は,空間処理というよりは言語処理に重きを置いている印象があります.
 
(※関係者様で「違うよ!」という意見がありましたら申し訳ありません.私の個人的見解です)
 私の学習タイプはどちらかと言えば右脳寄りなのでしょう.だから左脳寄りの方法はしっくりこない.インターネットで「ノートのとり方」と検索すれば
 数限りないノートのとり方がヒットし,その方法が様々であることが人によって最も適しているノートのとり方が異なる証拠のように思います.

 とまぁ,前置きが長くなって申し訳ありませんが,つまりはその人の学習タイプによってノートのとり方を変えた方が良いでしょう,ということです.
 学習における情報処理のタイプを「右脳優位タイプ」「左脳優位タイプ」「バランスタイプ」に分けて,以下に実践例を説明します.
 まずは自分が「どのタイプなのかなぁ〜」と考えてみて,最も合いそうなものを試してみてください.
 (※実践例は,全く同じ内容の知識を学習タイプ別にノートにまとめたものです)


左脳優位タイプ バランスタイプ 右脳優位タイプ
<実践例>※左クリックで拡大
<実践例>※左クリックで拡大
<実践例>※左クリックで拡大
 左脳優位タイプは,言語処理能力を活かして
 情報を処理していきます.独自ルールは
 以下の通りです(+共通ルール)
 
罫線のあるノートを使う
 
左・上から右・下に向かって書く
 
文字種,大きさを一定にしない
 
線は定規を使って引く

 バランスタイプは,両者の特徴を活かして
 情報を処理していきます.独自ルールは
 以下の通りです(+共通ルール)
 
罫線のあるノートを使う
 
左・上から右・下に向かって書く
 
重要なところは文字表現を変える
 
記号やイラスト表現を要所に入れる

 右脳優位タイプは,空間処理能力を活かして
 情報を処理していきます.独自ルールは
 以下の通りです(+共通ルール)
 
罫線の無いノートを使う
 
上下左右の向きにこだわらない
 
文字種,文字の大きさを一定にしない
 
記号やイラスト表現を多用する

     全タイプ共通ルール
  1つののテーマは1つの視界に
    同じテーマは1ページ内,もしくは見開きに収まるようまとめて下さい.ページをめくらなければならないような書き方では覚えにくいです.
 
右側に余白をとる
    周辺知識や補足情報を後から書き込むため,ページの右側2割くらいは余白を残しましょう.
 
色ペンの数は3〜4色まで
    色ペンの数は3〜4色までにしてください.左脳優位タイプの人は特にそうです.右脳優位タイプの人はもっと増えても大丈夫ですが,色に
    ついてのルールは決めておいてください(最重要は赤,次がオレンジ,補足は青,というように).
 
文章表現を最小限に
    次の2つの図を見て下さい.この2つは同じ知識を含んでいますが,下の図は上に比べ,文章表現を極力排除してあります.
    ノートをとる目的(@理解を促す,A記憶する)を思い出してください.文章で記憶するということは非常に効率が悪いですから,
    理解を促す部分はまだしも,記憶するためにノートをとるのならば文章ではなく単語,記号で表現して下さい.
    接続語,助詞,副詞など,無くても意味のとれるものは省略しましょう.
  
  


 …以上が学習タイプ別ノートのとり方です.ノートをとることは日々の勉強の基本ですので,もし現在,自分のノートのとり方がわからない,
 今までのやり方がどうもしっくりこない,という人は自分の学習タイプに合っていないノートのとり方をしている可能性があります.
 ぜひ試してみてください.