リハビリコラム No.30
時間を決めずにすぐできる.“ながら”エクササイズ


外出自粛により廃用症候群が発生する

 現在(2020年5月14日)、新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、日本でも感染予防のための外出自粛の動きが広がっています。各地で緊急事態宣言が発令され、在宅ワークの推進やイベントの中止、生活用品の買い出し等を除く不要不急の外出自粛が求められています。私は病院勤務のため通勤スタイルは変わらないのですが、道路も目に見えて交通量が減っています。
 緊急事態宣言が解除される都市も出てきていますが、外出自粛の気運はしばらく続くでしょう。そうなると当然予測されるのが活動量の低下による身体機能低下です。家の中で普通に生活しているだけでは身体機能維持に必要な活動量を確保するのは難しいですから、だんだんと筋肉の量や心肺機能が低下してしまいます。不活動による身体機能の低下を医学的には“廃用症候群”と呼びますが、仮に1週間ずっと安静にしていた場合、廃用症候群により全身の10〜15%ほども筋力が低下するとされています。3週間安静にしていた場合、50%も低下したという報告もあります。
 もちろん外出しなくても家の中で動いていますから、そこまで極端に低下することはまず無いでしょう。しかしこの状況が長く続けば、当然じわじわと廃用症候群は進行していくと考えられます。


短い時間でも習慣にするのは意外と難しい

 このような現状を打破すべく、各関係機関が様々な運動不足解消コンテンツを発信しています。家の中でできる簡単なエクササイズをパッケージにしてネット配信したり、パンフレットにして配布したりしています。
 どのエクササイズも工夫を凝らしてあり効果的だと思うのですが、継続するのはなかなか難しいものです。最初のうちは興味深く取り組んでいても、だんだんと億劫になり自然消滅、というパターンに陥りがちです。エクササイズ自体は決して難しいものではないはずですが、20分なり30分なり、それ専用の時間を日々の生活の中に継続して確保するというのは、意外とハードルが高いですから、「大事なのはわかっているけど、なかなかね…」という方は、これから紹介するエクササイズをぜひ試してみてください。家事などの生活動作をしながらできる、いわゆる“ながらエクササイズ”を3種類紹介します。


時間を決めなくていいから続くかも?ながらエクササイズ

@つま先立ち(立ちながら/歩きながら)

 つま先立ちによりふくらはぎの筋肉である腓腹筋とヒラメ筋を効果的にトレーニングできます。立ちながらでも、歩きながらでも可能です。不活動による重大な死亡リスクの一つである静脈血栓の予防にも役立つほか、バランスをとることで足や体幹の筋肉を全体的に使うことができます。

Aかかと挙げ・つま先挙げ(立ちながら)

 立ちながら、かかと挙げとつま先挙げを交互に行います。下腿の前面、後面の筋肉を交互に使うことで静脈血栓の予防に役立ちます。また下腿の血流を改善しむくみを予防・改善する効果もあるため、足首が細くなるかもしれません。

B継ぎ足歩行(歩きながら)

 綱渡りをするようなイメージで一直線上に足を置きながら歩きます。フローリングの板目などを目印にするとわかりやすいです。股関節の横についている中殿筋を使って左右のバランスをトレーニングできるほか、腹斜筋など腰の側面にある筋肉も使うため、腰回りの引き締め効果も期待できます。慣れてきたら@のつま先立ちと組み合わせても良いでしょう。


自分の生活スタイルに合った運動習慣を選ぼう

 歯を磨いているとき、着替えているとき、テレビを観ているとき、洗濯物を干しているときなど…日々の生活の中で他のことにも意識を向けられる時間はたくさんあります。このような時間を逃さず活用することで運動不足解消に役立ちます。このエクササイズなら、時間を決めずに思い出したら即実行できますから、まとまった時間を確保しにくい人に合っているのではないでしょうか。興味が持てたらぜひやってみてください。“ながら”エクササイズでも長時間の動画でも、自分に合っていると思う方を選んで外出自粛をのりきりましょう!






時間を決めずに
すぐできる.
“ながら”エクササイズ