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見出し学習カラーコーディネート 〜勉強部屋には○○と△△の2色がおススメ〜

色が私たちの身体に及ぼす影響

 正式な疾患名ではないようですが、白衣症候群というものがあります。白衣高血圧とも言い、病院で白衣を着た医師や看護師に血圧を測ってもらうと、普段自宅で計っている数値よりも高い血圧になってしまう現象の事です。白衣の人間を前にした精神的緊張によるものとされ、この対策からか白以外のユニフォームを着用する病院がずいぶん増えてきたように思います。実際白以外のユニフォームでは白衣症候群は極端に減るようです。
 このように色は私たちの精神、身体に意外と多くの変化をもたらします。白衣症候群は色が身体に悪影響を及ぼす例ですが、今回は色を学習に有効に使う方法について考えてみます。
 服やアクセサリー、部屋のカーテンや雑貨など自分で色を選ぶ機会は沢山ありますが、色にはそれを見ることによって特定の概念を呼び起こすはたらきがあり(観念連合、または抽象的連想を言います)、それらの概念を象徴語と言います。以下はそれぞれの色の代表的な象徴語です。

赤:生命、興奮、情熱、怒り、勇気、活動的、熱心、愛

橙色(オレンジ):暖かい、活発、喜び、躍動的、元気、陽気、積極的、温情

黄色:明朗、快活、歓喜、楽しい、緊張、注意、好奇心、愉快

緑:平和、安らぎ、生命力、平静、希望、永久、自然、健康

青:冷静、理性、静寂、睡眠、冷酷、清潔、静寂、知性

紫:神秘、高貴、妖艶、不思議、芸術的、気品、想像力、優雅

桃色(ピンク):優しさ、幸福、子供、平和、女性的、かわいい、穏やか、柔らかい

白:清潔、素直、神聖、明るい、孤独、頼りない、善良、真実

黒:死、不安、力、悪、絶望、厳粛、自信、男性的

 色を使って自己表現する場合(服装やアクセサリーなど)、これらの象徴語で自分を装飾することが出来ます。例えば赤い服を着ていればエネルギッシュな印象を、青い服を着ていれば理知的で落ち着いた印象を与える、といった具合です。ほとんどの人は服の色を自分の好みで選んでいるでしょうが、知らず知らずのうちに色の印象を自分の印象として周囲に伝えているのです。
 これを利用すれば、時と場所によって戦略的に色を利用することで対人関係を有利に進める事ができます。例えば、会議で自分に発言力を持たせたいときは熱意やエネルギーを象徴する赤のネクタイを身に着けると良いでしょう。クレーム処理係で怒っている人に対応しなければならないときは、鎮静を促す青や、平和のピンクの服を着ていると相手も落ち着いて話ができるでしょう。また心理学者のマーク・フランクとトーマス・ギロヴィッチがおこなったナショナル・フットボール・リーグの調査では、黒のユニフォームを着ると反則行為による退場が多くなるというのもあります(審判に悪いイメージを持たれてジャッジが厳しくなること、黒を着た選手が攻撃的になることが原因と2人は結論付けています)。だからといってピンクの平和的なユニフォームにしてはいけませんよ。選手の士気が下がりますから。

 他にも購買欲を煽る赤や、食欲を増進させる黄色やオレンジは商売と相性が良いです。店舗の看板にこれらの色が多用されているのはそのためです(ユ○クロの赤、吉○家のオレンジ、CoCo壱○屋やデ○ーズの黄色など)。例えば下の色の組み合わせは、食欲を増進させるカラーセットです。飲食店の外装やメニュー表などでこの色の組み合わせ、見たことありませんか?

↑食欲を増進させる効果のある組み合わせ

青と黄色が学習に向いている色
 前置きが長くなりましたが、このように色を見ることで人は自分の精神や身体に影響を及ぼします。ですから学習に有利な概念を抽出し、それらを呼び起こすことのできる色を周囲に配置することで、効率的な学習環境を作り出すことができるわけです。今回はこれを考えてみたいと思います。
 まず、学習に重要と思われる要素を挙げてみましょう。

集中・リラックス・意欲・冷静・興味・覚醒・理性

 こんな感じでしょうか。学習する時に上記のような状態を保ち続けることができれば、学習がはかどるでしょう。では次に、これらのキーワードを象徴し、呼び起こすことのできる色を挙げてみましょう。

青:リラックス・冷静・理性
黄:集中・意欲・興味・覚醒

 青と黄色でおおむねカバーできそうです。ところで、青だけでなく緑もリラックスを象徴しています。しかし「勉強中の音楽は良いのか悪いのか」のページで説明していますが、リラックスは「作業に向いている冷静なリラックス」と「休息に向いているボンヤリしたリラックス」があり、緑は休息の方を象徴しているため、学習には向きません。ですからもし勉強の合間に休憩する部屋を別に用意するのであれば、緑がお勧めです。緑には眼精疲労を緩和する効果もあるようですので、勉強の合間の休憩にはちょうどいいですね。

色同士の特性を考慮して上手に配置しよう

↑「色相環」

 さて、これで学習に有利な色は青と黄色が良いということになりましたが、青と黄色は色相環において離れた位置にあり、対照色相と呼ばれます。この配色は活動的でダイナミックなイメージを演出しますが、刺激が強すぎて不快感を与える可能性もあります。またそのような部屋で長時間過ごすことは精神的に多くのエネルギーを消費しますので、2色の面積比を同じではなく、どちらかを小さくして力を抑えた方が勉強空間として調和がとれるでしょう。



 私のお勧めとしては、カーテンやカーペットを青系に、筆記用具やインテリアなどの小物類を黄色に、壁紙を白という部屋を提案します。部屋のベースカラーを青系にして知性に満ちたリラックス空間を作り出し、黄色で集中・覚醒を保つという狙いです。壁紙を白にするのはセパレーションという技法で、主張の強い青と黄色の間に白のような無彩色を入れることによって不快感を抑え、長時間部屋で過ごすことによる精神的消耗度を減らす効果があります。それ以外の家具等の色は青・白・黄色の配色効果を邪魔しないよう、主張が強くなく目立たない色が良いでしょう(こげ茶やアイボリーなど)。

↑セパレーション

 勉強のためにカーテンや壁紙の色まで変えるというのは手間とお金が必要ですので、いま説明したものは十分に手間とお金があった場合の理想形だと思って下さい。全てがそろわなければ効果を発揮しないという事ではありませんので、例えば勉強中に眠くなってしまうのに困っているのであれば部屋に黄色の花を飾ってみたり、気が散りやすいのであれば床に青いマットを敷いてみるなど、自分の勉強スタイルを考えて、足りない要素を補うように少しずつ変えてみてはいかがでしょうか。




青木双風(あおきそうふう)青木双風

イラストレーター
ハンドメイド作家
理学療法士

趣味のイラストや工作の展示、イラスト素材の制作などをしています。

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