
片手用爪切りの作り方を紹介します。名前の通り片手で切ることができる爪切りです。脳卒中などで片手が麻痺してしまうと、自分で爪を切ることができません。家族や知り合いに頼んで切ってもらえばいいのですが、相手の手間を考えると遠慮してしまって頼みにくいようです。特に爪は伸びても自分が我慢すれば…というところもあるので余計に言いづらいそうです(例えば食事など、手伝ってもらわなければ生きていけない、ということの方が割り切りやすいので手伝ってもらうのに抵抗は少ないそうです)。
■STEP.1 材料準備

■ヒノキ材9×70×600mm 2枚:218円
■ヒノキ材9×9×600mm 2本:38円
■真ちゅう釘20本入り:98円
■ボルト・ナットセット10個入り:60円
■爪切り:105円(100均ショップ)
他に必要なもの(※は絶対に必要なもの)
■木工用ボンド※
■カナヅチ※
■ドライバー※
■ドリル(釘の直径よりも若干細いもの)
■木工用塗料
■マスキングテープ
木材は耐久性が重要ですので、なるべく固い素材を選んでください。今回は厚さ9mmで製作していますが、これより薄いと耐久度が落ちますのでお勧めしません。逆に厚くなるのは大丈夫ですので、ホームセンターに10mm、12mmなどしか置いていない場合はそれでも構いません。角材も板の厚さに合わせて下さい。
釘はステンレスではなく真ちゅうのものを購入していますが、これは単に頭の形が丸くて綺麗で好みだったからです。ステンレスの方が若干安価です。

爪切りは写真のように、本体に穴の開いているものを購入して下さい。この部分にボルトを通して木材と連結するからです。したがってボルトの直径は爪切りの穴に合ったものを選んでください。
もし穴の開いたものが売っていない場合は金属用のドリルで無理矢理穴をあけるしかありませんが、工具があるのであればそれで構いません。
■STEP.2 木材の切断・穴あけ

木材を切断します。ノコギリで木材を切る時、切り口をなるべくきれいにしたい場合は、切る部分にテープを巻いてから切ると切り口がケバ立ちません。ただし接着力の強いテープを使うとはがす時に木材の表面が荒れますので、マスキングテープがお勧めです。テープの上にペンで目印が描けるというメリットもあります。
9×60×250mm、9×60×30mm(2個)、9×9×250mm(2本)にそれぞれ板、角材を切断します。切断面はサンドペーパーで仕上げます。なるべく細かいサンドペーパーで仕上げた方が塗装がきれいになります。自分は木材用サンドペーパー♯350を使用しましたが、♯250以上あればきれいに仕上がると思います。

次は切った木材でボディをつくります。おおむね写真のような感じで組み立てます。
左の写真は木材をボンドで合わせてあるだけでまだ釘打ちはしていません。最終的には釘で固定しますが、釘は塗装後に打ちますのでボンドで仮止めしておきます。ボンドが乾いたら爪切り固定用のボルトの穴と釘のガイド穴をドリルであけます。釘はガイド穴が無いと打った時に割れる危険がありますので、ドリルが手元にない方は慎重に釘打ちをしてください。
写真の矢印の場所に穴をあけますが、青の矢印は貫通させてください。赤の矢印は木材同士の固定ですのでまぁテキトーに。
■STEP.3 塗装

次に塗装をします。以下の塗料を使用しました。色数の豊富さとコストからアクリル塗料を選びましたが、木材に塗れる塗料であれば何でもいいです。表面保護も木工用ニスが一番いいような気がしますが、安いのでアクリルスプレーにしました。
アクリル塗料(メンドシーノレッド):ベース
アクリル塗料(アイボリー):梅の花弁
アクリル塗料(コーラルピンク):梅の花芯
アクリルスプレー(クリアー):表面保護
アクリル塗料1本:198円
アクリルスプレー:198円

まず全体にベースとなる色を塗ります。爪切りは生活用品ですから、多少乱雑に扱って傷がついても木部が出ないよう、厚めに2〜3度塗りします。組み合わせた時に木材同士がこすれる部分には、くっついて動かなくなってしまうため塗装は避けましょう。

次は梅の花を描きます。丸い鉛筆と爪楊枝をスタンプ代わりにしました。

最後にクリアのアクリルスプレーで表面保護して塗装は完成です。側面に貼っておいたマスキングテープもはがします。
■STEP.4 組み立てて完成

釘を打って固定します。テキトーに打ってカナヅチが塗装面に当たると塗装が傷つくので注意して下さい。
可動部は写真のように交叉させて釘で固定します。両側の軸がずれているとスムーズに動きませんので2本の釘が直線上にくるよう慎重にまっすぐ打って下さい。打った後で何回かキコキコ動かすと馴染んで軽く動くようになります。

爪切りをボルトで台座に固定します。

これで完成です。爪切りの刃にに爪を合わせ、手のひらで台座を押し下げることで爪切りのアームを動かすことができます。
これが一番シンプルな形ですが、全体をもっと長くしてテコの原理で軽い力で切れるようにしたり、巧緻性の低下している方には刃にスムーズに指をあてがえるようガイドをつけたりとアレンジの余地はあると思います。利用者の要望に合わせて工夫してみてください。