ソックスエイドとは、股関節疾患や膝関節疾患などが原因で脚を曲げられず手がつま先まで届かなくなってしまった方が、自分で靴下を履くための自助具です。また妊娠中や腰痛など姿勢の制限で靴下を履きにくい方にも便利です。簡単に作れますので下肢骨折のギプス固定中だけ必要、といった場合にも重宝します。
介護用品店で購入できますがムダに高いので(amazonでも売ってましたが、安いものでも1000円以上…)、必要な方は自作をお勧めします。アレンジもできますしね。
ソックスエイドは使い心地が非常に重要です。そのためこだわりだすと素材や形状などバリエーションが膨大になります。ここでは基本形に近い作り方でとどめたいと思いますが、素材の特徴や形状の意味、アレンジポイントなども合わせて解説しますので、基本形がわかったらご自身の都合に合わせてアレンジをしてみてください。
■STEP.1 材料準備
■下敷きまたはファイルなどプラスチック製の板×1枚(100円ショップで購入できるもので十分です)
■ヒモ×1.5m(使い心地にこだわらなければ素材は何でも良い)
■型紙(↓からダウンロードして印刷してください)
ソックスエイド型紙
他に必要なもの
■ペン
■ハサミ(下敷きを切るので万能バサミが適しています)
■穴あけパンチ
■STEP.2 下書きと切り抜き
プラスチック板に下書きします。透明な素材であれば下から型紙を透かし、不透明なものは型紙を切り抜いてなぞりましょう。
水性ペンの方が切り終わってから拭きとれば綺麗になるので便利です。油性ペンを使う場合は切り終わってからマニキュア除光液などで拭きとって下さい。
ハサミで切り抜きます。切り口は鋭いので手を切らないよう注意して下さい。
■STEP.3 穴あけと紐通し
穴あけパンチで穴を空けます。家庭用の一般的な穴あけパンチは狙った場所に穴を空けるのが難しいですが、穴の位置は厳密ではないのでだいたいでいいです。
ヒモを通して完成です。ヒモの長さはとりあえず1.5mくらいにしておいて、後で使いながら調節しましょう。切り口がガタガタして靴下が引っかかりそうな場合は紙ヤスリなどで適当にならしてください。
■STEP.4 使い方
@ソックスエイドを丸めて筒状にし、靴下を履かせます
A靴下の中に足を入れます。なるべく奥まで入れてください。この時に手から最も遠くなりますので、ヒモの長さはこの距離で調節してください。
Bヒモを引っ張り、ソックスエイドを引き抜きます。初めは踵方向に引っ張り、踵が入ったら上方向に引っ張って下さい。
C履けました。靴下の長さやゴムの強さによって引っ張り加減が違うので、綺麗に履くためには若干練習が必要かもしれません。
■STEP.5 各部の特徴とアレンジポイント
@ここの幅がつま先を入れる時の靴下の口に関係しますので、足をスムーズに入れられない、という方はここを長くしてください。ただしあまり長くし過ぎると靴下のゴムが伸びてしまったり痛みが早くなります。
Aここは靴下のフチを引っかける部分です。ヒモを引っ張った時に、足が入る前にソックスエイドがすっぽ抜けてしまう場合はここの切り込みを深くするかカーブを鋭くしてください。逆に軽い力でソックスエイドを引き抜きたい場合は切り込みを浅くするかカーブを緩くしてください。
Bここの幅は靴下にソックスエイドを入れる時のソックスエイドの太さを反映します。ソックスエイドが太すぎて靴下に入れにくい場合はここの幅を狭くするかカーブを急にしてください。
素材はプラスチック下敷きが基本ですが、私のお勧めの素材は書類を束ねるファイルの表紙です。理由はハサミで切った際の切り口が下敷きと比べて鋭くならないので靴下を傷めないこと、柔軟性が高いので長持ちすることです(下敷きは劣化で突然割れることがあります)。ただし柔らかいものを使うと靴下のゴムに負けて履き辛くなりますので注意してください。また表面がくもりガラスのようにちょっとザラザラしているものが特にお勧めです。下敷きのようにツルツルの素材だと、夏場は汗で引っかかって引き抜きにくくなるからです。
十分に力がある人であれば素材をあまり気にする必要はありませんが、関節リウマチの方や高齢者など指の筋力が低下している人は素材の硬さが使い心地に大きくかかわりますので柔らかめのものを選んでください。
ストッキングは靴下より長いので多少の練習が必要ですが、ソックスエイドでストッキングを履くこともできます。ただしストッキングの伝線を防ぐため、フチにヤスリをかけて滑らかにしてください。