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イラストレーターと
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見出しNo.11 重心と介助技術A:重心を低くすると楽になる

重さが同じでも重心の高さは変わる

 前回、腰痛予防の為の立ち上がり介助の方法について、お互いの重心を近づけると小さな力で持ち上げられる、ということをお話しました。今回はお互いの重心の距離ではなく、高さに注目してみたいと思います。
 右の図を見てください。2つともグラスに液体が入っています。液体の量は同じとしましょう。違うのは液体がある場所の高さです。前回のコラムをふまえて、それぞれの重心の位置はわかるでしょうか?液体の重さが全体のほとんどを占めるでしょうから、重心の位置は液体が溜まっている場所の真ん中あたりです。つまり2つのグラスは、重さが一緒でもそれぞれの重心の高さが全く違うということになります。


重心が低いほど安定する
 物理の世界では、物体が安定するためにはいくつかの決まりごとがあります。その一つが“重心は低いほど安定する”ということです。仮にいま地震が起こり、2つのグラスの乗ったテーブルがグラグラと揺れたときのことを想像してみてください。どちらが先に倒れるかは明らかです。“重心は低いほど安定する”のです。介助する人が安定していれば、身体に力をこめやすいですし、万が一バランスを崩した時にも落ち着いて対処できます。


脚を使って持ち上げる
 
 それともう一つ、写真を見てください。同じ物体を、一方は重心が高い姿勢で、もう一方は重心が低い姿勢で持ち上げようとしている場面ですが、どちらの方が腰に負担がかかりそうでしょうか?
 これは持ち上げる前と後で、身体のどこが動いているか比べてみればよく分かります。下の写真を見ると、重心が高い姿勢では体が動き、重心が低い姿勢では脚が動いていますね。重い物を持ったまま体を起こすと、脊柱(背骨)に大きなストレスがかかり、腰を痛めてしまいます。介護の現場では、この“重心が高い姿勢”のまま利用者さんを持ち上げ、腰に負担がかかってしまうことが腰痛の原因になっていると考えられています。重心が低い姿勢で動作を行うということは、安定して動作を行うこと、自分の体を守ることの2つの大事な意味があります。

 ですから介助する際には少し腰を落として、重心が低い姿勢になりましょう。ただし座りこんでしまうくらいにしまうくらいに腰を落とすと、今度は膝を痛めてしまいます。腰を落とす深さは、膝が直角よりも深く曲がらないくらいが目安です。




青木双風(あおきそうふう)青木双風

イラストレーター
ハンドメイド作家
理学療法士

趣味のイラストや工作の展示、イラスト素材の制作などをしています。

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