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見出しNo.41 頭痛の56%は自分で対処できる 後編

頭痛を誘発する姿勢“ストレートネック”

 前回に引き続き、緊張型頭痛への対処法です。前回は緊張型頭痛を引き起こす原因となる肩こりについて、その場で解消する方法について解説しましたが、今回は根本的な原因である不良姿勢へのアプローチです。
 緊張型頭痛を引き起こす、首や肩の筋肉の凝りは、猫背で顎を前に突き出す姿勢によって引き起こされます。本来、ゆるやかなカーブを描き、真上で頭を支えるはずの頸椎が、頭を前に突き出すことで、頸椎に対して常に前に倒れるようなストレスがかかります。
 そのため首の後面や肩の筋肉が持続的な緊張を強いられ、その結果、血行不良を引き起こして肩こりへとつながります。この姿勢はクッション作用を持つ頸椎のカーブが無くなり、まっすぐになってしまうことから“ストレートネック”と呼ばれます。最近よく耳にするスマホ首もストレートネックのことで、うつむいて長時間スマホを凝視することでストレートネックになってしまいます。


ストレートネック診断テスト
 ストレートネックかどうかは正確にはレントゲン写真で確認しますが、自分で確認することもできますのでご紹介します。

@壁を背にして、気をつけの姿勢を取ります。
A後頭部、肩甲骨、お尻、踵の4カ所が自然と壁につけば正常です。

 後頭部が壁につかなかったり、無理をしないとなかなかつかない、という場合はストレートネックの可能性が高いです。


ストレートネックを改善するには
 ストレートネックになると、頭を支えるための僧帽筋や、顔を前に突き出すための胸鎖乳突筋が持続的に緊張することから血行不良を引き起こし、肩こりを生じます。前回のコラムで紹介したように、まずは肩こりの症状を緩和するためにストレッチや温熱療法を行いましょう。ただしそのままではいずれまた肩こりが生じてしまいますので、ストレートネックを根本的に治療するために、これから紹介する方法も効果的ですので、実践してみましょう。

■アゴ押し
@頭と背筋をまっすぐにする
A顎に手を当て、後方に強めにぐっと押し込む
B力を抜き、ゆるめる
肩を動かさず、頭を水平にスライドさせるように動かします。頭の後ろ、頭と首の境目あたりの筋が伸びるような感覚があります。壁に背中をつけて行うと感覚をつかみやすいでしょう。

■姿勢矯正
医学的ないわゆる良い姿勢とは、横から見たときに耳たぶ、肩の先端、足の付け根、膝、くるぶしが、おおむね一直線上にそろっているものを言います。真横から見る必要がありますから、誰かに判定してもらいましょう。
良い姿勢をとってと言われると背筋を伸ばして胸を張りがちですが、胸を張りすぎると顎が上がって後ろにそっくり返るような姿勢になってしまいます。お腹をひっこめて肩甲骨を内側に寄せたり、つむじあたりを糸で上に吊られているようなイメージを持ちましょう。
良い姿勢をとると、一部の筋肉が非常に疲れることがあります。これはつまり、その筋肉を普段使っていないから疲れやすいのだと考えられます。姿勢に使われる筋肉は、普段から意識することでだんだんと慣れて疲れにくくなってきますので、思い出したら良い姿勢をとるようにしましょう。

 以上、緊張型頭痛を改善するために、前編、後編にわたり治療法を解説しましたが、いかがでしたでしょうか。緊張型頭痛の原因である肩こりは、マッサージしたり温めたりと、対症療法は気軽にできますが、根本原因である姿勢の矯正まではなかなか大変です。しかし根気よく続ければ少しずつ効果は表れますので、ぜひ頑張ってみてください。



青木双風(あおきそうふう)青木双風

イラストレーター
ハンドメイド作家
理学療法士

趣味のイラストや工作の展示、イラスト素材の制作などをしています。

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