■ふくらはぎの筋肉の重要性
ふくらはぎの筋肉は第2の心臓と呼ばれ、心臓だけでは不足してしまう足の血行を補う役割があります。また綺麗な立位姿勢を保つために必要であるほか、走ったりジャンプしたり階段の昇り降りなど、活動性の高い動作で特に重要な筋肉です。
そんなふくらはぎの筋肉は、動かないことで筋肉が痩せてしまう”廃用性筋萎縮”が、全身の筋肉の中でも特に起こりやすい筋肉であり、日頃からのトレーニングが重要になってきます。
今回のコラムではふくらはぎの筋肉が身体に果たす役割、自分の能力に合わせて気軽にできるトレーニングを紹介します。ふくらはぎの筋肉をしっかり維持して、健康な毎日を送りましょう。
■身体の中で2番目に大きい
筋肉の役割は関節を動かすことだけではなく、筋肉のまわりにある血管を刺激して血行を促すという重要な役割も持っています。動脈を通って全身に送られた血液は、今度は静脈を通って心臓に戻ってきますが、例えば足の先など心臓から遠く、かつ身体の下の方にある場所に送られた血液は、実は心臓の力だけでは十分に回収することができません。筋肉の活動が合わさって全身の血行が維持されています。
ふくらはぎの筋肉は下腿三頭筋(腓腹筋およびヒラメ筋)と呼ばれる筋肉で、身体の中では2番目に大きい筋肉であり、足の血液循環に果たす役割も大きいです。それだけにこの筋肉の働きが低下してしまうと、血行不良が生じやすくなります。デスクワークなどで足を動かす機会が減ると、足先がむくみやすくなるのはこのためです。
■身体の中で5番目に痩せやすい
また普段から体重を支え、歩くことで頻繁に使っている筋肉だからこそ、使わなくなってしまうと急激に痩せてしまう筋肉でもあります。怪我や病気などで安静にすることで筋肉が痩せてしまう“廃用性筋萎縮”は、重力に逆らって姿勢を保つ役割のある“抗重力筋”に特に起こりやすいとされています。萎縮しやすい筋肉の5位に挙がっているヒラメ筋(下腿三頭筋の一部)は、代表的な抗重力筋です。
■下腿三頭筋の筋力トレーニング
下腿三頭筋を鍛えるためのトレーニング方法を解説します。以下に紹介する方法は全て下腿三頭筋のためのトレーニングですが、負荷量が異なります。下腿三頭筋に限らず、筋力をアップさせるためには10〜15回くらい繰り返して限界が来る程度の負荷量が最適とされています。反対に、何十回もできるような楽な負荷量のトレーニングを繰り返したとしても、筋力アップにはあまり繋がりません。
そのため以下の方法の中から、10〜15回で限界が来るような、自分に最も合った方法でトレーニングしてみてください。そして練習を続ければ筋力はアップしますから、そのうちできる回数が増えていくでしょう。20回を超えてできるようになったら一つ上の難易度の方法に切り替えてみてください。
@座位カーフレイズ
背筋を伸ばして椅子に浅く座る
ゆっくり踵を上げる
ゆっくり踵を下ろす
A立位カーフレイズ
肩幅くらいに足を開き立つ
ゆっくり踵を上げる
ゆっくり踵を下ろす
B段差カーフレイズ
5cm程度の段差につま先をのせ肩幅くらいに足を開き立つ
ゆっくり踵を上げる
ゆっくり踵を下ろす
C片足立ちカーフレイズ
片足立ちになる。それぞれの足は互いに触れない
ゆっくり踵を上げる
ゆっくり踵を下ろす
■参考文献1)Ikezoe T, et al. Atrophy of the lower limbs in elderly women: is it related to walking ability? Eur Journal of Applied Physiology. Jun. 2011
2)高木大輔,影山昌利:廃用症候群とレジスタンストレーニング.健康科学大学紀要 2021 ;17:36-39