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イラストレーターと
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見出しNo.57 冬のこむら返りに気をつけて

寝ている時にもこむら返りは起こる

 ふくらはぎの筋肉が痙攣する症状を総じて「こむら返り」と呼びます。「足がつる」とも表現しますね。筋肉が自分の意思とは関係なく勝手に収縮してしまい、力を抜くことができない状態です。こむら返りは運動時に起こるイメージがあるかもしれませんが、実は寝ている時にも起こります。


夏のこむら返り

 こむら返りの原因は大きく分けて2つです。1つは“ミネラル不足”です。ミネラルとは具体的にはカルシウム、カリウム、マグネシウムの3つで、カルシウムとカリウムは筋肉の収縮や神経の伝達をスムーズにする働きがあり、マグネシウムはこの2つのバランスを調整する働きがあります。これらミネラルのうちのいずれかが欠けると筋肉の緊張をコントロールできなくなり、勝手に筋肉が収縮してしまうこむら返りが起こります。
 このミネラル不足は食事で不足することももちろんありますが、その多くは運動に伴う発汗で体内のミネラルが排出されてしまうことで引き起こされます。つまり汗をたくさんかく夏に起こりやすいこむら返りと言えます。


冬のこむら返り

 その一方でもう一つの原因は“冷え”です。ミネラル不足がこむら返りを引き起こすことは先ほど説明した通りですが、そのミネラルは血液に乗って筋肉まで運ばれます。しかし冷えによって血管が細く収縮してしまうと、ふくらはぎの筋肉が血行不良に陥り必要なミネラルが届けられません。その結果こむら返りが起こってしまうのです。
 このこむら返りはおもに就寝時に起こります。人は寝ている時には心拍数が下がり、全体の血行は滞ります。それに加えて寒い部屋で足先などの冷えが加わると、ふくらはぎの血行不良はさらに進行し、寝ている時にこむら返りが起こります。これが冬に起こりやすいこむら返りです。


冬のこむら返りを防ぐには

 冷えによる血行不良でこむら返りが起こりますので、寝ている時に体温を保つこと、血行を保つことがこむら返りの予防につながります。寝る前の足湯なども効果的ですが、そう毎回用意するのも大変ですよね。おすすめはストレッチとレッグウォーマーです。
 ストレッチはふくらはぎに対しておこなうことで、血管を拡張させ血行を良くすることができます。足首を前後に起こしたり倒したりしてください。小さくチョコチョコ動かすのではなく、動かせるいっぱいの範囲まで、ゆっくり大きく動かすのがポイントです。膝が伸びている時と曲がっている時ではストレッチする筋肉が変わりますから、両方おこなってください。

 レッグウォーマーは就寝時にふくらはぎが冷えるのを防いでくれます。靴下でもかまいませんが、締め付けの強いものだとかえって血行が悪くなってしまいますので注意してください。


こむら返りになってしまったら

 就寝時の冷えの対策をしていても、その時の体調やミネラルバランスなど、他の様々な要因が重なってしまうと、気をつけていてもこむら返りは起こってしまいます。
 もしこむら返りが起こってしまったら、まずは痙攣している筋肉を伸ばす必要がありますから、つま先に手をかけたり、両手で持ったタオルをつま先に引っかけたりして、ゆっくりと手前に引き寄せてふくらはぎの筋肉を伸ばしてください。そしてひとまず落ち着いたらゆっくりと動かして、軽く歩いたりマッサージをしたりして筋肉をほぐしてください。
 それと最後に注意喚起しておきたいことなのですが、今回のコラムでは基礎疾患が無い人のこむら返りについて解説しましたが、実はこむら返りは様々な神経筋疾患や循環器疾患、下肢静脈血栓症の随伴症状として現れることもあります。もしこむら返りが治まらず長時間続いたり、何日も連続で起きるようなことがあれば、一度医療機関の受診をお勧めします。



青木双風(あおきそうふう)青木双風

イラストレーター
ハンドメイド作家
理学療法士

趣味のイラストや工作の展示、イラスト素材の制作などをしています。

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